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March 10, 2005

ベルルスコーニ首相の綱渡り

イラクの武装勢力に拘束されたイタリア人ジャーナリストの救出劇。
その最終場面で起きたドンデン返しをめぐってイタリアのベルルスコーニ首相は、米国とイタリアの国民感情の狭間で綱渡りをしているようです。
今回と似た状況において、命を落としたイラク市民、外国人はこれまでにもいたと思います。
悲しいことにイラク市民が犠牲になった場合には、国際問題に発展する可能性もなく、大きな注目は集まってきませんでした。また外国人が犠牲になった場合では、米国との外交関係を重視する相手国が頬被りすることによってやり過ごしてきたのではないでしょうか。

日本の大使の事件について疑問をもち続けていたことから、ベルルスコーニ首相は、どう動くかに注目しています。
当初、ベルルスコーニ首相は、事件の原因究明を米国にのみ求め、やり過ごすかのようにも見えました。
事件発生直後の段階で報道されたのは、誘拐された本人であるジャーナリストの証言(以下、Ms.Sgrena)だけです。
Ms. Sgrenaは反イラク戦争活動家として知られ、彼女の発言は反米のバイアスがかかっている懸念を免れないため、米国との外交関係にはさしたる影響は与えないと思われます。
しかし、イタリア国民の反米、反イラク戦争感情の高まりに対して、イタリア政府としてもアクションを取らざるを得ない状況になったようです。
第2次大戦では、ムッソリーニの圧制に堪忍袋の緒が切れた人々は、圧制者を討ち、その返す刀で枢軸国から連合国側に乗り換えるというBravoな国民性をもっています。
傭兵時代からの戦争で死んだら元も子もないという気風とトンデモナイ統治者は皆で追い出してよいという伝統が今も生きています。
人々の怒りの前では現在の政権など、風前の灯火です。
それを知っているベルルスコーニ首相は、親米外交を維持すると同時に、人々の怒りを静めなんらかのカタチを米国側から引き出そうとしています。

かたや米国も必死です。
米国軍の誤射によるイラク市民の犠牲者数についての正確な数字は把握していませんが、米国兵士の何倍にも上っていることでしょう。
これまで米国は、イラク市民の犠牲については攻撃の正当性を主張性して、いかなる賠償にも応じていません。
今ここで、イタリアに対して自らの非を少しでも認めたならば、これまでの犠牲者に対する賠償問題に一気に火がつく可能性があり、それは何としても食い止めなければならないという状況にあると思われます。

近々、米国とイタリアは共同調査チームを現場へ派遣するそうです。
国際政治のためには、ややもすると真実は曲げられる危うさを孕んでいます。
イタリアの人々の真実救命を求める声は、国際政治にどのように影響を与えるのでしょうか。
今後の展開を見ていきたいと思います。

事件当時の状況についての米軍、イタリア政府、Ms.Sgrenaの証言
場所:バグダッド西部
時間:午後8時55分

米軍
車は高速で検問に接近してきた。
運転手に停止を促すため、手信号、フラッシュライト、威嚇射撃をおこなった。
停止しなかったため、エンジン部分に向けて発砲した。
検問所は、暫定的に設置されたものだった。
夜間に視認することは、難しいと思われる。
イタリア政府からは、まったく連絡を受けていなかった。

イタリア政府(運転手と同乗していた情報部員の証言)
前方10メートルからライトで照らされた。
すぐさま車を停止させたが、同時に射撃が始まり、10~15秒間攻撃された。
イタリア政府は、空港への安全確保のためにあらゆる手段を尽くし、米軍へ連絡していた。

Ms.Sgrena
ライトも合図もなかった。
時速40~50キロで、走行していた。

参照:Story from BBC NEWS:
http://news.bbc.co.uk/go/pr/fr/-/1/hi/world/europe/4325253.stm

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