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August 2006

「貸金業金利の特例」に異議あり!

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060826k0000m020141000c.html

貸金業金利:上限上乗せの特例、時限措置で 金融庁が調整

金融庁は、消費者金融の貸出金利の上限が引き下げられた後に、少額・短期の貸し出しに限り上限を超えた金利を認める「特例」について、3年程度の時限的措置にすることで調整に入った。by毎日新聞 2006年8月26日

グレーゾーン金利

というものをご存知ですか?

利息制限法によって、貸金業者が取ることのできる利息の上限は15%から20%と決められているのですが、場合によっては29.2%までの利息も認められます。

この利息制限法に定められた上限金利は超えているけれど、出資法に定められた上限金利には満たない金利が、グレーゾーン金利と呼ばれています。

利息制限法の上限を超える部分は無効となるため、支払う義務はないのですが、

「進んで払った」という場合には、
「やっぱり返して」と言っても認められません(利息制限法1条2項)。

次に、貸金業者が利息契約をしたときに、利息制限法の上限金利を越えていても、

1.借りた人が利息として任意に払っていること、

2.貸し出しの条件等を明記した書面が交付されていること

の両方を満たす場合には、 有効な弁済とみなされます。(貸金業規制法43 条)。

つまり、「貸し出し条件の書類もらって、払ったよ」という場合には、後になって「利息制限法を超えて払った分は、返して」と言っても返ってこないのです。

この「みなし弁済」の条件について、最高裁判所は業者に厳しい判断をしてきました。

まず、ATMの入金票は「貸し出しの条件等を明記した書面」になるか?が争われた際には、

ATMの入金票には入金額があるだけで、元金の残高はわからないから、貸し出し条件を明記した書面にはならない

と判断しました。

「業者は入金の度に発行しなさい」、と言ったわけです。

次に、貸金業者の契約では、『支払期日に制限超過部分を含む約定利息を支払わなかった時には、残元本全額と経過利息をすぐにまとめて払え。残元本全額に対して遅延損害金(年利29.2%)も一緒に払え』という条項を入れることが一般的です。

こうした条項は、期限の利益喪失約款と呼ばれますが、この期限の利益喪失約款について、平成18年1月13日の最高裁は、

「そんなこと言われたら、借り手は利息制限法の上限を超えていると知っていても、怖いから払うでしょ。そういうのは<span style=font-size:large>事実上の強制です。任意に支払ったということはできません。」、

と判断しました。

これらの最高裁判決によって、貸金業者は入金の度に書面を作って渡すことが必要となり、また期限の利益の喪失約款をつけることはできなくなりました。

貸金業界からは「手間ばかりかかって、儲からない。やっていけなくなる」などの声が、上がっていました。 平成18年判決がでた後、行政はどうしたかと言いますと・・・ 国会議員の定数不均衡について、「不均衡は憲法違反だ」という最高裁判決がでた後の、反応の速度に比べてみると、あまりの対応の早さに驚くばかりですが、 2月に、貸金業の監督を行う金融庁は、貸金業規制法施行規則(内閣府令)の改正を行うことを表明しました。 4月には、「貸金業制度等に関する懇談会」は、グレーゾーン金利を撤廃することで意見が一致しました。

そして、今日、 >金融庁は、消費者金融の貸出金利の上限が引き下げられた後に、少額・短期の貸し出しに限り上限を超えた金利を認める3年間の「特例」を設けることで調整に入った ことがわかりました。

特例期間経過後は、金利上乗せは全面的に禁止される予定だそうですが、「一つの制度から別の制度に移行する場合は、緩やかに関係者が対応できるような措置も必要by与謝野馨金融・経済財政担当相」という理由から、時限的に特例措置が導入されるそうです。 借りる側は、消費者金融の貸出金利が下げられるのは歓迎するはずなので、「緩やかに関係者が対応できるような措置」を望む関係者というのは、業者側のことでしょう。

金融庁は、特例が規制の抜け穴にならないような対応策を盛り込むと言っていますが、小耳にはさんだ対応策は、

貸出上限を50万にするとか、

10万にするとか、

特例期間を1年間にするとか、

はたまた入金票の内容は簡易なものも認める、なんてのもありました。

貸出上限をいくら決めても、家族や友達の名前を使って複数の契約をしたり、別の業者と契約すれば、効果はありません。

簡易な入金票を認める立法をすれば、事実上「みなし弁済」の規定と最高裁の判断を無視することになってしまいます。

また、特例を設けることは二重構造を作ることに他なりません。

これは、借り手側を混乱させることになりますから、いかに短期間であったとしても、設けるべきではないと思います。 週明けにも自民党に貸金業規制法改正案のたたき台を示すそうですが、今後に注目していきたいと思います。

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